「転落事故を調査する会」事務局長より
弁護士 安田 耕治
金子麻貴さんという、まだ11歳の女の子のかけがえのない尊い生命が犠牲になってから早や2年近くになります。この間、事件の真相と原因を調査するために、調査する会では延べ25回にも及ぶ会議を踏まえ、事故現場検証、遺族や転落事故現場に一緒にいた児童並びに学校の先生からの聞き取り、転落現場についての児童の認識状況等を知るためのアンケート調査、そして学校災害絶滅に向けて運動をしている人々や学者との交流、文献や判例の調査等、さまざまな調査活動をしてきました。
その結果、漸く、この転落事故の真相と原因が明らかになり、この調査報告書を世に公表できる運びとなりました。この転落事故は、端的に言えば、子どもが窓の外に容易に出られるような、また、出てみたくなるような危険な設備状況を何十年にもわたって学校側が放置してきたことが原因で発生したものでした。私は、この調査活動を通じて、安全であるべき学校がいかに危険な現状にあるかを思い知らされました。麻貴さんが転落した5階図書室の窓台までが61㎝しかない窓及び窓の外の1m10㎝もある庇は言うに及ばず、これまた61㎝しかない低い手すりがついているのみの階段の踊り場等ゾッとするような場所がいっぱいあることを知らされました。
そして、こうした危険がいっぱいの学校の現状を踏まえて、私は、学校、とりわけ、未だ幼い児童が生活、学習する小学校における施設・設備の安全点検を、教師、保護者、建築家等の専門家、そして、何よりも子ども自身の参加のもとで確立する必要性を痛感しました。子どもの視点に立って、安全な学校の施設・設備の整備、教育・学習体制の充実を図ることが求められていると考えます。
私たち調査する会では、今後、この調査報告書を、東京都並びに文京区の教育委員会、学校設置者である文京区、文京区議会や議会会派(政党)、文京区内の小・中学校の先生や保護者の方々をはじめ、多くの人々に読んで頂き、”二人目の麻貴さん”を出さないための教訓を皆で共有し合うことを呼びかけていきたいと考えています。子どもたちが安全に学び成長できる場としての学校をつくりあげていくことに寄与できればとの願いをこめてこの調査報告書を広く普及させていく決意です。
どうか、この調査報告書を読んで頂いたうえ、1人でも多くの方から、ご意見、ご感想をお寄せ頂ければと存じますので、宜しくお願い致します。

