調査報告6 提言

事故再発防止対策の検討に際しての基本的視点を

本来、子どもは何にでも興味を持ち、あらゆることを遊び化する特性を持っています。従って、子どもは、大人の視点からすれば危険と思われる行為を行ったり、あるいはそれを思い止まったりするという危険へのアクセスを経験しながら、そこから学び成長していくものです。
今回の事故は、前述したアンケート結果からも分かるように、どの子も事故の当事者となった可能性がありました。
従って、安全であるべき学校における子どもの生活については、子どものこうした心理、特性を踏まえたうえで、施設、設備の安全点検、安全教育、指導、監督を行うことが必要です。
今回の場合、保護者から児童を預かる学校側としては、このような事故が発生した場合、責任の所在に関わりなく、まず、保護者に謝罪したうえで、事故の原因を調査し、その結果を保護者に十分に説明するとともに、前述した児童の心理、特性を踏まえたうえでの再発防止に向けての具体的提言、改善をするべきです。
しかし、誠に遺憾なことではありますが、今回、学校側からは、今まで述べたとおり、謝罪も十分な説明も、また何の反省も提言もなされていません。

再発防止のための提言

①学校施設、設備の安全点検、児童の参加

本件の図書室に関する構造の危険性については、過去何回もそのことに気がつき然るべき安全対策を講ずることが出来たにもかかわらず、永年にわたって、危険なまま放置されてきたことからしても、まず、重要なことは学校施設、設備について、早急に安全点検を行うとともに、より重要なことは、定期的な安全点検体制を講ずることが必要です。
このことは、単に指ヶ谷小学校においてのみならず、文京区内、さらには東京都内ひいては全国の学校においてなされるべきことです。
こうした安全点検は、建築士等の専門家による施設安全点検の視点を基本にして、前述した子どもの心理、特性を封殺することのないように留意しつつ、安全点検マニュアルプログラムを作成し、関係者の共通認識のもとに行っていくことが大切です。そして利用者である児童が積極的に学校施設づくりや施設の安全点検に参加することは、施設の利用度が高まるだけでなく、大人が気づかぬ児童の目線を知る機会にもなります。したがって児童も含めた学校施設づくりや安全点検の取り組みが必要です。

②適正な人的配置の充実

今回の場合、図書室に司書が配置されていなかったことも問題でした。単に事故防止の視点からのみではなく、子どもの学習権の充実のためにも司書は配置されて然るべきです。
また、指ヶ谷小学校では、20分休みや昼休みにも校庭や体育館で「遊ぶ」ようしおりを通じて指導していたとのことですが、授業を終えたばかりの担任教師が全児童の「遊び」につき十分な安全指導、監督をすることは極めて困難です。その点からも適切な教職員の増員、配置等が望まれます。

③安全教育の指導、監督体制の充実

子どもが危険へアクセスしながら、そこからさまざまなことを学びつつ成長していくことを十分に認識したうえ、適切な安全教育を充実する必要があります。子どもを危険な箇所に接近させないで、教室にのみ閉じ込めておくようなやり方は、逆に子どもの健全な成長を阻害してしまいます。しかしながら教員等の適切な人員が確保されていない場合には、一層このようなやり方になりがちです。従って、前述した適正な人的配置の充実とも併せた形での安全教育の指導、監督体制の拡充が必要です。

以上